【ネタバレ】アクロス・ザ・スパイダーバース、みてきたよ

はじめに

アクロス・ザ・スパイダーバースは普段同じ映画を複数回見ない自分が迷わず3回見に行ってしまうほどの最高のエンターテインメント映画だった。見に行くたびに感想がアップデートされていったので、それらのまとめと本作の好きなところとちょっとした考察を箇条書きベースで残すことにする。

感想

  • スパイダーバースにいる他スパイダーマンたちからの、運命を受け入れろ、という押しつけがあまりにも強くて苦しい。そこからは「どうか成功してくれるな、成功したら今までの私たちはなんだったのか」という悲鳴めいた想いすら感じる。
  • ゴーホームマシンに乗り込むマイルス、彼を取り囲む赤い壁。ミゲルが必死に破ろうとしたその壁はエヴァのATフィールドを連想し、マイルスがソサイエティメンバーに心を強く閉ざした瞬間のように感じられた。
  • 視聴2回目で、冒頭のグウェンの「マイルスを傷つけた」という嘆きはマイルスがソサイエティ去った後のグウェンの心境であることに気づいた。
  • マルチバースで子と共にいるもう1人の自分を見つめるミゲルは、望むものを手に入れたもう1人の自分の姿を知り、孤独に戦う姿はワンダと似ている。
    • ソサイエティを築いたがライラ以外を信用していないミゲルは孤独だ。ソサイエティにはあんなにスパイダーマンがいるのに。
    • ミゲルは意図せず世界を崩壊させ、ワンダは意図的に世界を崩壊させる(崩壊しても構わない。彼女視点でのトロッコ問題では子供>世界)
  • マイルスの母の「素晴らしい居場所にいった時、自分の場所はここではない、と自分自身に思わせるな」この言葉の場所=スパイダーマンである自分・父の生存する世界、となったマイルス
    • お前はスパイダーマンになるべきではなかった、実質的に父を見殺しにせよというミゲルの言葉はあまりにも残酷。
    • アース42ではその場所が存在しない。プラウラーであるもうひとりの自分、父の逝去。
  • スパイダーマンのヒーローとしての孤独さが本作品では強調されていた。たったひとりのヒーロー、覆面、親しい人に伝えられないもどかしさ。だからこそ覆面を外せる空間が大事。ティーネイジャーなのにケアする大人が少ない。ヒーローとしてのメンターの存在が必要。これは前作でも強く感じた。

好きなところ

  • 跳び方一つ一つの違い
  • マイルスの技に対するホービーの「両手を使え」
    • ミゲルに捕まったときにもちゃっかり教えてたよねホービー。好き。
  • ミゲルの「ビースト」感
    • 躍動やパンチに重みを感じるし、猛獣のような戦闘スタイルに「蜘蛛に噛まれてスパイダーマンなった」わけではない背景が強く出ている。
  • 美術のこだわり
    • ソサイエティから自宅に帰ってきたグウェンの背景色(ピンク)と彼女の父の背景が溶け合い(ダークグリーン)、ピンクとなる。「警官ではなく、父親として自分に向き合って欲しい」というグウェンの強い気持ちを彼が受け入れ、和解した瞬間を感じられたのがよかった。
      • Twitter (※執筆開始時点)では担当アニメーターの方が「グウェンの孤独感が伝わるように、背景はピンクで彼女自身の色をブルーにした」と呟いており、そのツイートを見た後に3回目を見に行ったときに背景色のこだわりに気づけた。
    • アース42のマイルスの部屋に手のイラストのようなものがあった。プラウラーのスーツの設計図を連想させる小ネタとそのこだわりが好き。

  • グウェンはスポットの実験後のあの場所でなぜマイルスの実体化に気がつかなかったのか?
    • 感情が乱れるとスパイダーセンスが働かなくなるのではないか。

考察

  • ミゲルが入れ替わってなぜ崩壊したのか
    • 娘が1人でい続けることはカノンイベントだったのでは
  • ソサイエティ誕生とミゲルの時系列は?
    • 前作のクレジットシーンでは、マイルスが加速器を破壊した後、ミゲルがライラと共にマルチバースを移動可能なあのバンドを初めて作成したことがわかる。
      • アース616の加速器破壊→ミゲルがアース928でバンド作成→マルチバースの自分に成り代わる→そのアースが崩壊(この時ピーター・B・パーカーと一緒にいるのがエモい)→ソサイエティ設立→マイルスと対峙